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生きるということは
生み出すことと失うことを同時にしていて
ふと止まって振り返った時に何も進んでいないような気がして
何も生み出していないのではないかと思ってしまう時がある。
振り返った先は真っ暗で
映画のように自分にだけピンスポットが当たっている。
そんなイメージが思い浮かぶと
暗い底に足をつかまれ引っ張られるような気になる。
今まではそうなると、どうしていいのかわからずに
後ろを振り返ったまま足がすくんでいたけれど
最近は後ろを見た後、ゆっくりと元のように
視線を前に移して何もなかったかのように歩くことができるようになった。
悟ったのだった。
こうしている間にも失っているのだ。
失いたくない。過去ではなく、
今からまた自分として生きていく。
ここまでやってきてくれた自分に感謝している。
ハグをして健闘を讃えて肩を組んで歩いていく。