SunaSet

日々と生活

2020-01-01から1年間の記事一覧

察知

心中のお誘いが来たけれど わたしのことを好きな男以外とは死なない。

子ども

10年前に付き合っていた人と再会し ビジネス街の裏、お気に入りのお店でごはんを食べた。 相変わらず格好良くて頭の回転が速くて 気遣いもエスコートも完璧だった。 お酒で気が良くなったからか、あなたは美しいねと優しい目で言われた。 そうよ、わたし美し…

夏休みの始まり

ありがとう、助かった。 少し涼しくなったと思われた矢先の夏日、 ぼんやりした体を叩き起こして冷えた緑茶を飲む。 難しいことはなにも考えられないから本は家に置いていく。 お風呂に入り、TURBANという名前がつけられた明るい色を爪に塗る。 髪の毛を乾か…

気配

我がままを言いたい気分だったの。 子どものような他愛が無くて 他人を困らせるとわかりきっている ぐだぐだした思いをなんのフィルターにもかけず口から息のように吐き出すだけの 我がままを言えた。

海外から届いた手紙を見つけた。 それは大失恋をした相手からで 20の時に届いた写真入りの封書だった。 引き出しの奥に眠っていて 懐かしいくせのある字だった。 表の宛名書きを見て、一拍おいてから 枕元に置いてあるA4の封筒に入れた。 レシートや個人情報…

シエスタ

書かなければならないと思って書いている。 これは決意表明だ。 世界が止まっていて、季節も止まっていて、 歩みも止まっている今 東京の小さな町で文章を書いている。 あと何回愛していると言えるかわからないけれど 恋を止めず、ひらひらしたスカートを履…

五月雨

美しいものは わたしの中にある。

夜と海の間で

あの時確実に わたし、死んでもいいわと 思ったの。 知らない人に殺されるなんてまっぴらごめんだわ。 どうせなら好きな人を抱いてから死にたい。 だからそうした。 頭の中はとても静か、三寒四温のなんでもない夜に。

音楽

ハローハロー、それは不時着した見知らぬ都市で 人影も犬も見当たらず 初めて発した声みたいだった。 とりあえず生きていて息もしている、辺りは静まりかえっている。 しんとしていて耳をそば立てても何も聞こえない。 ハロー、深夜の通信は 応答があって初…