夏休みの始まり
ありがとう、助かった。
少し涼しくなったと思われた矢先の夏日、
ぼんやりした体を叩き起こして冷えた緑茶を飲む。
難しいことはなにも考えられないから本は家に置いていく。
お風呂に入り、TURBANという名前がつけられた明るい色を爪に塗る。
髪の毛を乾かす間も暑くて、ごく弱めに冷房を入れる。
整体に行ったばかりだから
在宅勤務で内巻きだった肩も正しい位置に戻ったようだ。
時刻は昼の12時40分、外へ踏み出す。
イヤホンをしてSportifyで音楽を聴きながら
内回りの山手線で3曲分移動する。
改札を出ると人がいっぱいだ。
日差しの明るさと素早く行き交う人々に一瞬くらくらする。
信号の向こうに見慣れた姿が見えて
マスクをしているけれど目が笑ったのが分かった。
信号待ちの間にビッグイシューの最新号を購入して
お金を払った後に振り向くと信号が青に変わった。
自転車が多い横断歩道、山手線の線路が右手に見えて
人と人の間をすり抜けながら
まっすぐ渡った。