2000
なんでもない話をしながら
やっぱり一人旅に出てつまらないと思うのは
ごはんを食べる時だねと話す。
あの時はとてもおいしいと思ったのに
一人で行った時はそんなでもなかったよ。
スカロップをお代わりした
ヨーロッパの街角の夜のレストランを思い出す。
何杯も何杯も乾杯した。
朝起きた時のコーヒー以外は
昼も街中でも夜も寝る前も
カフェやレストランで乾杯をした。
記憶の中の一緒に行った旅は
2000年が初めてで、
アジアの空港で落ち合った時の
それまでの緊張を吹き飛ばすような笑顔を
今でも鮮やかに思い出す。
そして日本、
飲み屋街の端っこで
その時の旅を振り返っている。
まじまじと横顔を見つめ
15年経ても
この人はなにも変わらない。
たまに吸う煙草ははるかに板につき、
煙をまとった髪の毛すら愛おしいと思う。
この先にどんな未来があろうとも
おいしい食事をおいしいと言えるために
一緒に旅に出よう。