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日々と生活

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信心深い方ではないけれど

守られていると常々感じている。

 

節分で年が明けた。

厄年と言われる3年を無事に過ぎほっとしている。

鬼は外、はやらなかったけれど

よっしゃあ!明けた!と思った。

 

全ては気分次第かもしれないけれど

節分の少し前から抱えていた問いに対して

道が見え始めた。

 

なんでも気持ち次第と言うけれど

気持ちが上がらない時もあって

そういう時は人をほめる事が大事だと感じた。

そして周りの人達はみんな素敵だ。

 

愛してくれた人の愛情に

大分後になって気付くこともあるけれど

気付いてありがとうと思う。

 

年が明けて一つ一つやっていこう。

 

1253

久し振りに会った先生に

あまり安売りせずにじっくり選んだほうが良いと思うよと言われた。

 

少しでも合わない所があっても

大筋合っていると思うならばそこに決めちゃいなよ

と殆どの人に言われた。

転職活動の真っ只中

早く決めねばと焦っていたのは他でもない自分だ。

 

久し振りに前の職場の人に会った飲み会の席

取引先だった先生は

焦りを見越していたのかと思う。

 

3年と4カ月ちょっとを過ごした職場を

離れてみるとわかることは山ほどあって

大好きな尊敬する人達と仕事をできる喜び、

それをまた味わいたいと思った。

 

幸せな仕事生活、それはきっと夢物語ではない。

9.5

毎日髪を巻き

体に沿うスカートを履き

ピンヒールで社内を闊歩する

フロアにいる女性がほぼそういう人だった。

背筋を伸ばし歩く彼女達が異世界の住人に見えて

初めは怖気づいた。

311の地震の後は履き替え用のぺったんこの靴を机の下に常備していたけれど

皆社内ではせいの高い細いヒールの靴だった。

プラダを着た悪魔」はデフォルメではなく実際の目の前の世界で

社内の朝の打ち合わせではぺったんこの靴を履いている人も

お客さんが来る5分前には慌ててパンプスに履き替える

そんな会社だった。

 

会社を辞めてからしばらくして

旅に出ようと思った時にスニーカーを持っていないことに気がついた。

渋谷のセンター街の幾つかの靴屋を回り試着した。

足が軽い。履いていないみたいだ。

ヒールの時は昼を過ぎるとコピー機に行くのにも足の裏が重たかったけれど

スニーカーならどこまでも歩ける。時間が許せば何駅でも行ける。

知らなかった。

 

9.5センチのパンプスで4時間立ちっぱなしだった事がある。

立食の席で色々な人と話しながら、ばれないように片足ずつ靴をぬいで足の甲を伸ばしていた。

 

スニーカーの底がへってきたなと思いながら

彼女たちの努力はすごいもんだったんだなと

今さらながら真剣に感心している。

108

除夜の鐘をつきに行った。

雨が少し降った歩道をダウンコートを着てさくさくと歩く。

 

歩きながら新年を迎えた。

小学校の頃の通学路をたどり大きなお寺へ向かう。

坂を上った左手に立派な鐘があり、右手には長く続く石段の上に墓地がある。

ゆく年くる年でよく見るような行列が鐘まで続いている。

大好きだった祖母が菩提寺に眠り

人生で初めて除夜の鐘をつきに来た。

 

列はゆっくりと進み自分の番が来た。鐘つき棒に結ばれた縄を持ち

後ろへ引き振り子の法則でそのまま前へとつく。

澄んだいい音がする。案外力はいらない。

 

みかんと甘酒を受け取り、火に当たりながら甘酒を飲む。

パチパチとお塔婆が燃える様子を見つめながらなんとなく達成感を感じていた。

 

静かな森の中を抜けて家へ戻る。都会とは全く違う空気の質。

ベッドタウンの小さい町、色んな悲喜こもごもを伴ってここで育った。

空気が良くて、静かな場所でよかったねと祖母の一周忌の時に心の中で思った。

 

お墓の前でお経をあげてくれたお坊さんが除夜の鐘のことを教えてくれたのだった。

108つ以上鳴らしていますけれどね、と人のよい笑顔で笑った。

 

 

 

7.15

今月一番歩いたのは7.15キロ。

気付いたら合羽橋で器を買って家まで歩いていた。

歩くのと料理をするのは無駄な事を考えないあたり似ている。

 

変わっている人だねと安易に言う人は

自分が変わっていない人だと根拠もなく思っているんだろうか。

灯台もと暗しだなともくもくと歩きながら思った。

 

-8

大勢が集まる忘年会の席、

今年もあと残り8日だ。

 

絵描きの友達が机に色鉛筆を広げて

少しお酒が入っているくらいの方が絵が描きやすいんだよと筆を進める。

ものを書きたくなる時は同じと言ったら

それは言葉が降りてくるの?それとも何かを書きたくなるの、

書くという事をしたくなるの?

とお酒のラベルを写生しながら彼は問う。

書きたいものがあるから紙に書く感じだね、と言ったら

それってすごいねと目を丸くする。

 

絵を描ける方がすごいよ、それ誰もができることじゃないよ。

絵を描くのは目の前にあるものを写すだけだよ。

この色がいいっていうのはどうわかるの?

そういうのは特訓だよ。でも言葉は降りてこないもの。

すごいね。

 

彼の手はそれはそれはメロディーのある

ごきげんな絵を描くんだ。

見ている人を幸福な気分にする

彼だけができる事。

そんな素敵な彼が些細な会話に目を丸くする。

 

魯山人みたいに複数の趣味を極めている人はまれで

きっと殆どの人は1つの大事なことを育てる。

彼は絵、私は言葉、誰かはそれが料理で

仕事だという人もいるだろう。

 

それって面白いね、

きっとテレビに出たりCDが出たり

そういう露出する結果が伴わなくても

すごいことだ。

 

ああよかった、失う前にちゃんと気付いた。

と思って、お酒のラベルを描く

その力強い線を見守った。