SunaSet

日々と生活

Before06:00

たった1人だけ

ずっと夢のなかに出てくる実在の人がいて

その人のことを愛していた。


長かった片思いはほんの少し前に幕を下ろし

そうなった時にはもう一生会わないと心に決めていた。


昔から夢に出る時は

なぜか図書館だったり見たことがない部屋だったり

色は濃紺で物も置いていない

静かな空間が多かった。


不思議な事に相手の夢にも時々出てくるようで

昨日夢に出たよ、元気にしている?と

短いメッセージが携帯に届いたりしていた。


今日の明け方突然夢に出てきた。

相変わらず背景は何もない白い壁で

言わなくてもなぜこうしたかわかってくれていると思った、

と言って泣いた。


今のがっちりしている体ではなく

線の細い数年前の姿で細い腕で抱き寄せ

肩を震わせて泣いた。


こいつはなにを言ってるんだ、泣きたいのはこっちだよ、と夢の中でも思った。

その反面、泣かないで、とも思った。


それはつらそうに泣く姿を見たことがある。

どうしようもないやり切れなさを体から発散させながら

座っているのに地団駄を踏みながら泣くのだった。

夜の公園、涙を流す姿をただ横で見ていた。


泣き腫らした夜に遭遇したのは15年も前なのに

それが昨日の晩の出来事のように鮮明に覚えているのだった。


きみが泣くならどこへでも飛んで行く、

それが日本の真下だろうが真逆だろうが。

本気でそう思った唯一の人だった。


なぜ亡霊のような念を送ってくるんだ、

これはきっと意識しない内に白いもやみたいな幽霊になって

相手の夢にも出ているんじゃないか。と朝起きて思った。

時計を見たら5時59分だったので

亡霊でもいい、会えたなら、と思い

二度寝についた。