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日々と生活

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長い間ずっと知り合いで

ずっと変わらなかった。

 

人となりはそんなに簡単には変わらない。

お芝居の時に舞台俳優は変わらないのに背景のセットだけどんどん変わるみたいに

景色と音楽だけ転換して

12年間はあっという間に過ぎた。

 

0時を過ぎても仕事をしていた時、

一寸先は闇だった。

今でも時々あの時の空気を思い出して

遠い所へ来たなと感じる。

 

あんなに常に締切に追い立てられて苦しかったのに

屋上からはそれは美しいベイブリッジの夜景が見えた。

酸素が足りなくなると屋上へ階段で上り

ひょいと入口の柵を越えて空を仰いだ。

 

技術の足りなさに落胆した。

そんな中、一人ずば抜けて技術力の高かった後輩が

手を差し伸べてくれた。

 

心の有りようが自由でいい。

もしよければ一緒に、とあなたは言った。

我がままばかり言ってきたのに。

 

自由で奔放で、いつでもどこにでも行ける。

そう信じてきた。

日々の中にいとも簡単に自由は埋もれる。

一人の意思ではどうにもならない事由が増える。

 

本当にそうなのだろうか。

 

今でも自由で奔放なはずだ。

年齢や性別や会社での役割にがんじがらめになって

首を絞めているのはいつだって自分なのに

それを簡単に何かのせいにすり変える。

 

何かしたいこと、一人じゃできないこと。

したいこと。

 

まだ探せる、今ここに見えていなくても

知らないこと、目の前にあっても気付かないものは

山ほどあるのだ。