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SunaSet

数字と生活

-8

大勢が集まる忘年会の席、

今年もあと残り8日だ。

 

絵描きの友達が机に色鉛筆を広げて

少しお酒が入っているくらいの方が絵が描きやすいんだよと筆を進める。

ものを書きたくなる時は同じと言ったら

それは言葉が降りてくるの?それとも何かを書きたくなるの、

書くという事をしたくなるの?

とお酒のラベルを写生しながら彼は問う。

書きたいものがあるから紙に書く感じだね、と言ったら

それってすごいねと目を丸くする。

 

絵を描ける方がすごいよ、それ誰もができることじゃないよ。

絵を描くのは目の前にあるものを写すだけだよ。

この色がいいっていうのはどうわかるの?

そういうのは特訓だよ。でも言葉は降りてこないもの。

すごいね。

 

彼の手はそれはそれはメロディーのある

ごきげんな絵を描くんだ。

見ている人を幸福な気分にする

彼だけができる事。

そんな素敵な彼が些細な会話に目を丸くする。

 

魯山人みたいに複数の趣味を極めている人はまれで

きっと殆どの人は1つの大事なことを育てる。

彼は絵、私は言葉、誰かはそれが料理で

仕事だという人もいるだろう。

 

それって面白いね、

きっとテレビに出たりCDが出たり

そういう露出する結果が伴わなくても

すごいことだ。

 

ああよかった、失う前にちゃんと気付いた。

と思って、お酒のラベルを描く

その力強い線を見守った。