SunaSet

日々と生活

1745

今が愛おしくて

時々立ち止まる。


計らずともとても自由で

見えるもの全てが美しい。

夏が眩しくて好きでしょうがなくて、

亜熱帯かと思う程のこの東京の湿度さえも

離したくないと思ってしまう季節であること。


暑い季節特有の輝き、

19時を超えてから湿度が緩くなり

夜へ向かう街のざわめき

なんとなく冬よりも早い時間から活気のあるターミナル駅

美しくて目をつむる。


何にでもなれる、どこへでも行ける。

いつでもそうだから、美しさを信じていたい。

Before06:00

たった1人だけ

ずっと夢のなかに出てくる実在の人がいて

その人のことを愛していた。


長かった片思いはほんの少し前に幕を下ろし

そうなった時にはもう一生会わないと心に決めていた。


昔から夢に出る時は

なぜか図書館だったり見たことがない部屋だったり

色は濃紺で物も置いていない

静かな空間が多かった。


不思議な事に相手の夢にも時々出てくるようで

昨日夢に出たよ、元気にしている?と

短いメッセージが携帯に届いたりしていた。


今日の明け方突然夢に出てきた。

相変わらず背景は何もない白い壁で

言わなくてもなぜこうしたかわかってくれていると思った、

と言って泣いた。


今のがっちりしている体ではなく

線の細い数年前の姿で細い腕で抱き寄せ

肩を震わせて泣いた。


こいつはなにを言ってるんだ、泣きたいのはこっちだよ、と夢の中でも思った。

その反面、泣かないで、とも思った。


それはつらそうに泣く姿を見たことがある。

どうしようもないやり切れなさを体から発散させながら

座っているのに地団駄を踏みながら泣くのだった。

夜の公園、涙を流す姿をただ横で見ていた。


泣き腫らした夜に遭遇したのは15年も前なのに

それが昨日の晩の出来事のように鮮明に覚えているのだった。


きみが泣くならどこへでも飛んで行く、

それが日本の真下だろうが真逆だろうが。

本気でそう思った唯一の人だった。


なぜ亡霊のような念を送ってくるんだ、

これはきっと意識しない内に白いもやみたいな幽霊になって

相手の夢にも出ているんじゃないか。と朝起きて思った。

時計を見たら5時59分だったので

亡霊でもいい、会えたなら、と思い

二度寝についた。




4,380

長い間ずっと知り合いで

ずっと変わらなかった。

 

人となりはそんなに簡単には変わらない。

お芝居の時に舞台俳優は変わらないのに背景のセットだけどんどん変わるみたいに

景色と音楽だけ転換して

12年間はあっという間に過ぎた。

 

0時を過ぎても仕事をしていた時、

一寸先は闇だった。

今でも時々あの時の空気を思い出して

遠い所へ来たなと感じる。

 

あんなに常に締切に追い立てられて苦しかったのに

屋上からはそれは美しいベイブリッジの夜景が見えた。

酸素が足りなくなると屋上へ階段で上り

ひょいと入口の柵を越えて空を仰いだ。

 

技術の足りなさに落胆した。

そんな中、一人ずば抜けて技術力の高かった後輩が

手を差し伸べてくれた。

 

心の有りようが自由でいい。

もしよければ一緒に、とあなたは言った。

我がままばかり言ってきたのに。

 

自由で奔放で、いつでもどこにでも行ける。

そう信じてきた。

日々の中にいとも簡単に自由は埋もれる。

一人の意思ではどうにもならない事由が増える。

 

本当にそうなのだろうか。

 

今でも自由で奔放なはずだ。

年齢や性別や会社での役割にがんじがらめになって

首を絞めているのはいつだって自分なのに

それを簡単に何かのせいにすり変える。

 

何かしたいこと、一人じゃできないこと。

したいこと。

 

まだ探せる、今ここに見えていなくても

知らないこと、目の前にあっても気付かないものは

山ほどあるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7.0h

仕事でいざこざがあった金曜日、

時間がとても長く感じる。

定時を過ぎて思い切って連絡をした。


今日、気付かぬ間に人にいやな思いをさせていて

それを本人から言われた。


万人に好かれるのは無理だし、

そんなことを望んでいないのはわかっている。

ただ、どこかで諦めていたのではないかとふと思った。


つらい、苦しい、大変、

そういうのを無意識に理解してもらえると思っていた。

他人はあくまでも他人なのに、共感してもらえていると勘違いした独り相撲だったのかもしれない。


そして近所のすごくおいしい焼肉屋さんで焼肉を食べた。

開店してまだ3ヶ月なのに、入れ替わり立ち替わりお客さんが来る。


凝り固まった自分を横にとりあえず置いておくように

人が焼いてくれるお肉を食べることに集中した。


人から敵意を向けられるのは本当に苦手で疲れる。

今まではそこで止まっていたけれど、相手がなぜそこに至ったのかを考えている。


ハラミ、ハツ、上ミノを食べたあたりで食事に集中できるようになり

追加でカルビ、ロースを食べた。

焼肉番長がいると話が早い。全て絶妙なタイミングで焼いてくれるのでお任せした。


人と食事をするということは

単に話ができる幸福感が勿論あるけれど、

おいしいを共有している内に、辛い事や悲しい事がひと時でも離れて

テーブルの周りには食事と相手しかいないという事実を噛みしめるから

幸せなのだと思った。


肩肘を張らずに生きていくのはなかなかできないけれど

何よりも大切なのは、自分を卑下せず

信じて見守ることだ、

そしてそれを大事にして生きていこう、と

寒空の下誓った。


1005-995

台風が近付いて気圧が下がったのを体の重さで知る。

こんな日は早く帰るに限る。

 

お盆明けはまだお休み中の人も多くて仕事は緩やかだ。

調べものをしながら旅行の計画を立てる。

 

旅の事を考えるだけで頭の霧が晴れていくのがわかる。

あの雑踏、自分を気にする人なんかいない電車の中、湿度の高い空気。

そうだアジアへ行こう。

 

日本は、特に東京は常に人の目を感じる。

電車に乗っていても、エスカレーターに乗るほんのちょっとした時間も

つり革につかまりながら隣の人や席に座っている人の視線を感じる。

 

その居心地の悪さを確信したのも旅に出てからだった。

一歩外へ出ると、電車の中でじっと人の事を見ている人なんていない。

そんなことをしたら喧嘩をふっかけられても文句は言えない。

 

なぜ日本人は不躾に他人をじっと見る事ができるのだろう。

レストランやカフェでも感じる。

見ていないふりをして注文した料理やケーキを見ている。

無意識なのだろう、と信じたい。

 

視線が重くない町へ行くために

LCCのチケットを更に値踏みするのだ。

 

 

 

 

 

 

0752

朝電気がついていないオフィスに足を踏み入れてから

お昼まで記憶がない位忙しく

いつの間にか時間はどんどん過ぎて行った。

 

こういう日に限って、各方面から問い合わせや確認事項が降ってくる。

プライオリティをつけながら、タスクが漏れていないか確認しながら

こういうのが好きだとはっきり思う。

 

忙しくて目まぐるしくてお茶を入れに立つのも面倒な位

やる事が山積みなのが好きなのだ。

例え小さな引っかかりでも、相手にとっての大きさは自分で測るものではない。

そうやってブラインドを下ろして自分で線引きをして

後ろは振り返らずに退社する。

仕事が好きだ。

 

もしかしたらここではない何処かで生活を始めるかもしれない。

そう考えた時に一番によぎったのは仕事だった。

この仕事は天職だと思っている。まだ離れたくない。

 

クレバーな人が好きだ。話が早くて時間の無駄がない。

相手の時間を時給で考えた時少しでも無駄を取らせないようにしたいと思う。

高給取りではないし英語がペラペラな訳でもない。

それでもきちんと今の場所に存在価値があると日々感じている。

 

昼が来たのに気付かない位忙しくても

心の中はとても静かだ。

常に考えている。次に何をするか、どう動くのか。

 

先は必ず明るいと根拠もなしに思っている。

おくらが安く手に入ったとかちょっといいビールをもらったとか

そういう事でいいのだ。

 

なんだか少し原点に戻った気がする。

 

 

 

 

 

 

567miles 再び

愛おしい、とあなたが口にした時

自分でも思いがけない言葉にびっくりした様子だった。

そんな感情が湧き上がってきた事に対しての驚きが

見えた。

私は理解したのだった。人を思うこと、それは煩わしさと表裏一体だけど

一瞬で許せてしまう何かが愛するということ。